ティーブーム到来を前にきちんと知っておきたい「緑茶・烏龍茶・紅茶の違い」

お茶の淹れ方

2018.01.10

「お茶」と一口で言っても、緑茶や烏龍茶、紅茶といった種類がある。日常的に何気なく使われているそれらのお茶は、どのように分類されているのか。コーヒーに続いてお茶が話題になっているいまの時期に、茶の分類についてきちんとおさえておいて損はないので、本記事で具体的にどのような違いがあるのかご紹介したい。

「お茶の違いは「発酵度合い」によって異なる

緑茶、烏龍茶、紅茶は同じ「チャ(チャノキ)」の葉っぱから作られている。詳しくはツバキ科ツバキ属チャノキ、学名カメリアシネンシスである。咲く花は椿の花に形がよく似た小さな白い花が咲く。茶は同じツバキ科の「チャ」から作られるが、どのように緑茶・烏龍茶・紅茶に分かれるのかというと、その発酵度合いによって分類されているのだ。収穫した茶葉をどの程度「発酵」させるか、によってお茶の種類が決まるのである。無発酵茶が緑茶、半発酵茶が烏龍茶、全発酵茶が紅茶に分類される。緑茶の発酵度合いが0%だとすると、烏龍茶が1〜99%、紅茶が100%ということになる。実際の境界線は曖昧であるので、そこは柔軟に捉えていただきたい。

茶における発酵のメカニズム

茶の発酵というのはどういうことだろうか。日本酒や味噌など、日本には多くの発酵食品が存在するが、実はそれらの発酵とお茶の発酵は意味合いが異なる。発酵の定義としては一般に、菌などの微生物を介して食品を製造することであるが、お茶の発酵には微生物は一切関与していないのだ。お茶の葉にはポリフェノールオキシダーゼと呼ばれる酸化酵素がある。苦味成分タンニン(カテキン類)をはじめとするポリフェノールを酸化させる働きが酸化酵素だ。カテキンは高い温度で溶け出しやすく、熱いお湯で淹れた際にでる苦味成分でもある。苦味成分のタンニン(カテキン類)が酸化重合され、テフラビン、テアルビジンといった成分に変わる「酸化」のことを、お茶の世界では「発酵」と呼んでいる。ちなみに酸化はどんな食材でも行われる。リンゴを切って放置しておくと、茶色くなる現象も「酸化」だ。発酵の定義が菌などの微生物を介して食品を製造することなので、菌を利用しない茶の発酵(この場合、酸化)は、実は発酵とは言えないのだが、古くから発酵と考えられていたために慣習として発酵と呼ばれている。

茶は発酵が進むと烏龍茶や紅茶のように茶葉が茶色くなり、香りは青々とした清涼感から芳醇な香りに変わっていく。つまり緑茶は酸化酵素を促進させない製法で、烏龍茶や紅茶は酸化酵素の働きを促進させた製法と言える。発酵は、多種多様なお茶を作る上で非常に重要な工程なのだ。

発酵度合いと発酵の方法によって、大きく6つに分けられる

上記で説明したお茶の発酵によって分類をすると、不発酵茶・半発酵茶・全発酵茶の3つに分類されるが、さらに細かく6つに分類することができる。

  • 不発酵茶(緑茶)
    最も馴染み深い緑茶は発酵させる工程がない。青々とした清涼感を残すために茶葉を蒸して、酸化酵素を破壊し働きを止めることで、鮮度を保っている。発酵しないことで黄金色・萌黄色のお茶の色が残る。熱いお湯で淹れると苦味成分のタンニンが出て、いわゆる渋いお茶になる。日本式の「蒸し製煎茶」は生の茶葉を蒸気で蒸してから揉むが、中国式の「釜炒り茶」は熱した釜(鍋のようなもの)の中に生葉を入れ、煎りながら作られる。同じ緑茶でも製法は産地によって異なってくる。
  • 弱発酵茶(白茶)
    発酵を軽く行ってから作られるお茶。太陽光や室内に放置して自然に萎れさせた後、そのまま乾燥させて作られる。ほんのりと芳醇な香りで、後味の甘みが特徴的だ。
  • 半発酵茶(青茶または烏龍茶)
    茶葉を日干し、その後に陰干しして葉をしおれさせる。短時間発酵させた後に熱を加え、酸化酵素の働きを止めて作られる。要は緑茶と紅茶の中間に位置する。発酵過程でタンニンが減少しているため、熱湯を注いだ時、緑茶より苦味や渋みが弱くなる。
  • 全発酵茶(紅茶)
    発酵を十分に行ってから作られるお茶だ。果物や草花または蜂蜜のような香りや芳醇な味わいが特徴的。主な原産地はインド、スリランカ、中国、ヨーロッパなどを中心に広く世界中で作られている。発酵によって苦味成分のタンニンが酸化し、烏龍茶よりも苦味や渋みが弱くなるのが特徴だ。日本の茶農家で紅茶を作る場合もあり「和紅茶」と言われる。
  • 弱後発酵茶(黄茶)
    黄茶(ファンチャ)は、通常の発酵と合わせて、悶黄(もんこう)と呼ばれる熟成工程を経て、酸化酵素を使わずに加熱後の発酵も行うお茶。こちらは後発酵だが、微生物による発酵ではない。
  • 後発酵茶(黒茶、碁石茶、阿波晩茶など)
    後発酵茶は、茶葉を加熱して酸化発酵の働きを止めた後、乳酸菌や酵母などの微生物を用いて発酵させたお茶である。黒茶(ヘイチャ)は麹菌、碁石茶・阿波晩茶は乳酸菌による発酵を行ったもの。黒茶では中国のプーアル茶が有名。

お茶が分類される理由は、発酵度合いによるもの

化学的にはには発酵の定義は微生物(イースト菌や乳酸菌など)が嫌気条件下でエネルギーを得るために有機化合物を酸化して、アルコール、有機酸、二酸化炭素などを生成する過程のことである。しかしお茶の発酵には、菌は関与しない。「お茶の発酵」は、厳密には酸化酵素による酸化=発酵のことだ。発酵させないで作るのが緑茶であり、半発酵茶を烏龍茶、全発酵茶を紅茶と分類されている。緑茶が青々とした爽やかな香りがあるのは、発酵をさせないように、葉に含まれている酸化酵素を熱によって失活させ、鮮度を保っているからだ。烏龍茶と紅茶のように発酵させることで苦味成分タンニンを酸化させると香り成分が増し、芳醇な果実のような風味を感じることができる。緑茶でも近年では微発酵させること(萎凋)で香りを引き出したものがある。当店では「003こいしずく」「007宵の七曜星」「017藤枝かおり」などがあり、香り高いので紅茶好きの方にも好まれるような味わいだ。

発酵の工程は大きい味の方向性を決めるが、茶葉の産地や品種、その土地の気候や土壌など、発酵以外にもお茶の風味や香りを左右する要素は様々だ。先入観なく、色々なお茶を飲むことで、自分の好みに合ったお茶を見つけていただきたい。

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